プラスチックQ&A

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プラスチックに関する疑問点にお答えします

01プラスチックという言葉を目にしますが、これは高分子化合物とは違うのですか。
また、合成樹脂とも違うのですか。これらの用語の違いを教えてください。
プラスチックの基礎知識のページで、「プラスチック」とは、加熱したとき軟らかくなり、粘土のようにこねることができる熱可塑性という性質をもつ物質だと説明しました。そして、それぞれを結びつける手を持つ個々の物質=モノマーを1,000~数万個結合させてできる強靱な物質をポリマーと言うこともお話ししました。
モノマーはいろいろな分子で出来ており、この分子が数万個という多くの単位で結合した巨大な物質=ポリマーを「高分子化合物」や「高分子」とも呼んでいます。さらに、そのポリマーに、必要に応じてその性質を改良するための物質=添加剤を加えたものがプラスチックと説明しています。堂々巡りのようで、言葉の定義としては曖昧なところがあります。
また従来から、慣例的に、製品として成形したものが「プラスチック」で、成形する前の材料が「合成樹脂」であると定義することがあります。即ち、コップや皿は「プラスチック」であって、その原料は「合成樹脂」や単に「樹脂(レジン)」であると区別する考え方です。 これらのことから、これら3つの用語は、厳密には全く同じとは言えませんが、慣例的にほぼ同じ意味で使用されていると言ってよいでしょう。
02熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、どこが違っているのでしょうか。
プラスチックは、一般的に加熱したとき軟らかくなり、粘土のようにこねることができる熱可塑性という性質をもつ物質だと説明しました。しかし厳密に言うと、プラスチックには、加熱すると軟らかくなり溶けて流動したり変形するものと、加熱しても変形したり流動したりしないものとがあります。前者を熱可塑性樹脂、後者を熱硬化性樹脂と呼んでいます。

結合の手が2個しかないモノマーの分子と、結合の手が4個のモノマーの分子が結合してポリマーの分子になっていく様子を、下図にそれぞれ模式的に示してみます。2個の手を持ったモノマーからは、線状のポリマーの分子が何個か生まれ、一方、4個の手を持ったモノマーからは、網目状のポリマーの分子が1個生まれています。

網目状の巨大なポリマーの分子は動きにくいため、加熱されても軟らかくなったり、流れたりすることはありません。これが熱硬化性樹脂なのです。これに対して、2個の手を持つモノマーからできた線状のポリマー分子は、加熱されると軟らかくなり、力が加わると変形しますが、冷えると動きにくくなりそのまま固まります。この変化は何度も繰り返せます。これが熱可塑性樹脂です。

【モノマーがポリマーになる模式図】

03プラスチックの種類は、どのくらいありますか。
今まで100種類近くのプラスチックが開発され、現在約70種のプラスチックが使われているといわれています。
ポリオレフィン等衛生協議会において食品の器具や容器・包装などに使用するための自主管理基準を設けているプラスチックは、30種類です。
「プラスチックの種類」をご参照ください
04プラスチックの種類は、見分けられますか。
70種類近くもあるプラスチックを正確に判別することは、高価な分析装置を用いなければ困難です。 ご家庭でプラスチック製品のプラスチックの種類を判別したい時には、まず当該製品に表示している家庭用品品質表示法に基づく原料名の表示、或いは容器包装リサイクル法に基づくリサイクル用の表示(SPIコード等)をチェックしてください。
「プラスチック製品についている表示やマーク」をご参照ください
05プラスチックは熱に強いのですか、それとも弱いのですか。
プラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレンやPETなどに代表される熱可塑性樹脂は、熱をかければ溶け、冷やせば固まる性質を持っています。ですから、もともとそのプラスチックが溶ける温度に達すれば溶けてしまうのは当り前のことなのです。
食器などに使われるメラミン樹脂やスポンジや断熱材に使われるウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂の場合は、熱をかけても溶けることはありませんが、変形したり、焦げたり燃えたりすることはあります。
いずれにしても、加熱の程度により何らかの変化があるのがプラスチックですから、耐熱温度の表示をよく見て、正しい使用をして事故を防いてください。特に、ガスコンロの周囲やストーブの上などへ置くことは、溶けたり変形するだけでなく、引火して燃え出す危険もありますのでご注意ください。
06プラスチックに紙のような通気性がないのは、なぜでしょうか。
紙は、木材パルプを摺り潰して作った繊維を接着させて作られます。ですから天然紙は、バレーボールやテニスのネットを折りたたんだような、繊維同士が絡み合った構造になっていて、繊維と繊維との間には拡大鏡で見ることができるような相当大きなすき間があります。
これに対して、プラスチックは、繊維と繊維がからみ合ったような構造ではなく、均一で緻密な構造になっています。すき間は高分子の分子間にありますが、これは電子顕微鏡で見ても分からないほど小さいものです。したがって、プラスチックのフィルムは気体が簡単に通れないほど目の細かいフィルターの様なもので、紙のような通気性はありません。
プラスチックはそれぞれの特性を活かして使い分けられていますが、いずれにしても、穴の空いていないプラスチックでは、人間が呼吸できるほどの通気性はありませんので、プラスチックの袋を子供さんがかぶったりしないようにご注意下さい。
07プラスチックは酸やアルカリなどに強いといわれていますが。
プラスチックは高分子化合物です。物質は高分子になるほど化学的に安定になるといわれていますので、一般的にいえば、プラスチックは酸やアルカリなどにも強いといえるでしょう。
しかし、単に酸やアルカリなどといっても、いろいろな種類があり、全部のプラスチックがどんな酸やアルカリなどにも強いとはいえません。化学物質の物性一覧などをご覧になって、どの樹脂はどんな性質かをよく知り、正しい使い方をしていただきたいと思います。
08プラスチックの添加物に、天然物を使用すると安全上または環境上好ましいと思うのですが、
可能でしょうか。
可能です。現在使用されている添加物の中には、天然物由来のものが既に数多くあります。例えばビタミンEは、抗酸化作用により油脂の酸化防止に効果があり、既にプラスチックの酸化防止剤としても利用されています。レジ袋に使われている炭酸カルシウムは天然物由来です。更に添加剤の中にはグリセリンエステル(帯電防止剤)やステアリン酸カルシウム(安定剤)のように、天然物に類するものも多くあります。
しかし、天然物であれば安全というものでもなく、行き過ぎれば毒性を持っているということは、天然物でも人工物でも同じことです。このことから、天然物をプラスチックの添加剤に使用する場合にも、人工の添加剤を使用する場合と同様に、慎重に選択しなければなりません。ポリ衛協では、プラスチックの添加物に関して、人工/天然由来に係わらず安全性の確認されたもののみを認証登録し、使用品へその数量を規定する仕組みとなっています。
09食品用途に使用されているプラスチックには、どのようなものがありますか。
また、食品用途に使用されるプラスチックについて、その特徴と短所について教えてください。
食品用に多く使われているプラスチックは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンです。現在ではポリエチレンテレフタレート製の容器、ボトルが多く使われるようになりました。
特徴として、プラスチックは軽くて丈夫、カビや細菌がつきにくい、色々な形に成形できる、水に強い等の特徴を活かして、食品用途に広く使われるようになっています。
しかしプラスチックの容器等は、大量に生産され、かつ長持ちすることから、使用済みの樹脂容器等がゴミとして使い捨てにされる状況は、資源の無駄遣いと環境保護の両面から問題であるとの認識が強いです。そのため、業界・自治体・消費者が意識してリサイクルに取組んでいますが、最近の問題として海洋に流れ出るプラスチックが、海に漂ううちに微細化し、マイクロプラスチックとなり、生態系に悪影響を及ぼしていることが挙げられます。レジ袋の使用を禁止した国も出てきており、今後のプラスチックの使用を考える上で、大きな社会的課題となりつつあります。
10食品の包装などでアルミ箔とプラスチックを複合した包装材がよく使われていますが、どうしてですか?
単一の材料では要求される品質の全てを満足させることができないことが多く、不足している品質を持っている別の材料と組み合わせることにより、欠点を補いあって理想に近い包装材としています。アルミ箔は空気、ガス、水分、蒸気、及び光に対する遮断性が非常に高く、油の滲出がないなどの優れた性能を持っています。反面、単体では破れやすいという欠点もあり、こうした欠点を相互に補ったものがアルミ箔とプラスチックの複合フィルムです。
したがってこの複合フィルムは、柔軟ですが丈夫で破れにくく、食品劣化の原因となる雑菌や酸素、水分、光を通さず、香りも逃がさないために食品の包装材として好適なのです。
11発泡プラスチックが断熱材として使われている理由を教えてください。
発泡されたプラスチックは、コルクと同じように内部を気体で満たされた多面体の細胞(セル)構造になっています。コルクが熱を伝えにくいことはよく知られていますが、それと同じ理由です。発泡プラスチックの断面を顕微鏡で見ますと、風船のような非常に薄いプラスチックの膜の中に空気を包み込んだ形のもので、石垣を積んだような構造になっています。
プラスチックや空気は一般に熱伝導率の低い(熱の伝わりが悪い)物質です。そもそもプラスチックは熱伝導率が低く、これに包み込まれた空気は更に熱伝導率の低い物質ですので、発泡した、つまり内部に空気を含んだプラスチックは、発泡していない同素材よりも更に断熱性が高まります。
12プラスチックに寿命はありますか。
プラスチックは一般に安定ですから、通常の使用条件では化学的に変質することは、ほとんどありません。ただ、屋外などで長期間放置したりしますと、表面が劣化することもあります。また、繰り返し働く力や内部にたまる歪みなどにより、クラックが入ったりすることがあります。表面は比較的軟らかいので、キズがついたり、また汚れがしみ込んで取れない場合もあります。
13使い捨て(ワンウェイ)のプラスチック容器は、資源のむだ使いではないでしょうか?
容器包装材がワンウェイ化をたどっているのは、プラスチックが金属やガラス、紙などに比べ、軽くて強い、清潔で加工しやすいなどの利点から、流通の合理化が図れる事によります。その結果、生産者はコストを下げることができ、消費者は欲しい商品を安く買うことができるのです。
しかし、資源の有効利用や環境保護という観点で、使用後の処理方法については見直す必要があります。2000年4月から容器包装リサイクル法が施行され、現在は国や業界が、循環型社会をめざして、リターナブル容器やリサイクル可能な製品・材料の開発、再生可能な材料を使用した容器開発等を進めています。また、消費者においても安易な使い捨ての生活を見直し、ゴミを分別する、リサイクル可能な容器の回収に協力するなど双方の努力から、環境と利便性とのバランスが維持できるのではないかと考えます。
14プラスチック容器は使い捨てされるのでエネルギーのむだ使いではないでしょうか?
原料資源と同様に、ワンウェイ容器は、リターナブル容器に比べてより多くのエネルギーを消費していると言われることがありますが、決してそうではありません。むしろ省エネルギーとみることができます。
例えばペットボトルは、アルミ缶、スチール缶、ガラスびん等他のワンウェイ容器と比較しますと、その製造に必要なエネルギーが少ない容器です。例えば32オンス(約900g)の炭酸飲料容器の場合、各種容器の1本当たりの製造エネルギーは下表と計算され、ペットボトルが他の缶、びんよりも省エネルギー的であることを示しています。

15新聞等でppmやppbという言葉を目にしますが、どういう単位でしょうか。
ppmは、parts per millionの略であり、100万分の1を意味します。すなわち、割合を表す単位です。%に換算すれば1ppmは0.0001%となります。%を百分率とも言いますが、ppmは百万分率ということになります。当然%と同じように、重量・濃度・体積・面積・容積・長さなどと比較するファクターが変わっても、この単位は用いることができます。
この単位は、本来非常に小さい割合を示すのに用いられる用語です。溶出試験では、プラスチックの試験サンプルを浸した溶媒中の溶出物の濃度の表示に用いられています。水1トン(1000kg)にグラニュー糖1gを溶かすと、1ppm(濃度)になります。
また、ppmの下に、さらにppb(parts per billion)という単位があり、これは10億分の1を表します。
16化学物質の安全性を評価する毒性試験のやり方をもう少し詳しく説明して下さい。
下表に、毒性試験の種類と概要をまとめました。
いずれの方法でも、人体実験をやるわけにはいきませんので、実験動物を用いてやります。動物の種類によって試験物質に対する感受性が違うこともあり得ますので、動物についての結果がそっくりそのまま人間に当てはまらない危険性はゼロではありませんが、科学が幾ら発達しても、これ以上の方法はありません。実験動物も人間に近いサルや犬などを用いればベターですが、高価なうえ、数が入手し難く、また動物愛護の面からも、特殊な場合にしか用いられません。一般には、全世界的にネズミ(ラットやマウス)を用います。場合によっては、前記のサルやイヌ、ウサギなども用いられます。

急性毒性試験の結果は、通常、実験動物の半数が死亡する投与量(50%致死量)で表わされ、これをLD50と呼んでいます。食塩のLD50は8g/kg程度ですが、これは、体重1㎏につき食塩8gを一度に投与したら、実験動物の50%が死亡したということを示しています。LD50は、各物質の致死量や一般的意味での毒性の強さの目安としては便利ですが、どの位の量なら、長時間、摂取し続けても障害は起きないという基準としては不適当です。

慢性毒性試験からは、どの位まで摂取し続けても障害が引き起されないかという量(最大無作用量)が求められますから、安全の指標として使えます。但し、人間に対する許容摂取量としては、動物についての最大無作用量そのままではなく、種の違い個体差(個人差)を考慮した安全係数(不確実係数)を用い、動物実験の値の1/100程度の値とします。こうして求めた数値をTDI(Tolerable Daily Intake、一日耐容摂取量)、あるいはADI(Acceptable Daily Intake、一日許容摂取量)と呼んでいます。ADIは、食品添加物のように、意図的に添加量を計算して使用する場合に用いられ、樹脂の添加剤のように、非意図的に食品へ移行する結果、人体に摂取される場合は、TDIを用います。このTDI(ADI)を越えない量であれば、人間が一生の間食べ続けても安全だろうと考えられているわけです。この基本的考え方は、国際的な基本認識となっています。

亜急性毒性試験からも人間の耐容(許容)摂取量が算出されます。ただし、この場合には、安全係数(不確実係数)として300~500を用いて動物における最大無作用量の1/300~1/500の値を人間に対する耐容(許容)摂取量とします。亜急性毒性試験は、発がん性の検出には欠けるところがありますが、一般的な病変は、慢性毒性試験より明確に検出できます。慢性毒性試験では、老令による変化が現われるため、試験物質による変化が不明瞭になることも多いためです。したがって、亜急性毒性試験から求めた耐容(許容)摂取量も慢性毒性試験から求めたTDI(ADI)に準じて、安全の基準と考えることができ、包装や食器に使用する物質のように人間が間接的に摂取するものについては、これが国際的な判断基準になっています。

繁殖・催奇形性試験は、繁殖の異常や奇形の発生を調べる試験です。妊娠した動物に試験物質を投与するのですが、妊娠間隔が短く、一度に沢山の子供が生まれるラットやマウスがよく用いられます。

発がん性試験は、慢性毒性試験と同じような方法ですが、ただ、老令になると、かなりの確率で腫瘍が自然に発生しますので、試験物質が腫瘍やがんを発生させていることを判断するために、合計で300匹ものラットやマウスを用いるようになっています。

変異原性試験は、遺伝毒性の可能性の検査です。バクテリアや培養細胞などを用いて、遺伝子や染色体に与える影響の有無を調べます。
一般毒性試験 急性毒性試験 動物に1回だけ試験物質を大量に与え、どのくらいの量で死に至るかを調べる
  亜急性毒性試験 動物の生存期間の10%の期間(ラットやマウスのネズミで3カ月、イヌで1年)試験物質を与え続け、どのくらいの量まで摂取し続けても障害が引き起こさないか調べる
  長期毒性試験
(慢性毒性試験)
動物の全生涯(ラットで2年、イヌで6〜10年)にわたり試験物質を所定濃度で与え続け、どの位の量まで摂取し続けても障害が引き起こさないか調べる
特殊毒性試験 繁殖・催奇形性試験 妊娠したラットやマウスを用いて、3世代にわたって調べ、奇形の発生の有無などを調べる
  発がん性試験 慢性毒性試験と同じく、動物(ラットまたはマウス)に全生涯、試験物質を所定濃度で投与して、発がん性の有無を調べる
変異原性試験 試験物質を所定濃度で添加した試料を用いて、遺伝子や染色体に与える影響を調べ、変異原性の有無を調べる
17変異原性(突然変異誘発性)とはどんなことですか。
メンデルの遺伝の法則をご記憶でしょう。あらゆる生物は、遺伝の法則に支配されていて、親の肉体的および精神的特徴が、秩序正しく整然と子孫へ伝えられるのです。突然変異とは、この秩序正しい遺伝現象の乱れのことで、親から子へ伝える遺伝情報に間違いが生じて親には無かった形質が子孫に現われて遺伝していくことをいいます。

太古の昔、地球上にアメーバのような生命が発生して、人間のような高等生物に進化して来た主要な原因は、突然変異だったとされています。 金魚は、大昔の中国のフナが突然変異を起こしたものですし、突然変異を利用して農作物の新種も作られています。これらも突然変異に違いありませんが、最近問題にされている突然変異性は、化学物質や放射能により、遺伝的欠陥が引き起され、子孫へ伝えられる危険性を指しています。
つまり、「遺伝毒性」といってもよいと思います。人間の子どもは、親の精子と卵子から作られ、親が肉体を直接子供へ渡すのではありません。ですから、この生殖細胞の中に親の形質を伝える物質が存在すると考えられます。この遺伝の情報を伝える物質を「遺伝子」といいます。

細胞の中には「核」という丸い球があり、その中に「染色体」という紐状の物質が存在します。遺伝子がこの染色体上に存在することは、1900年頃には判っていましたが、遺伝子の実体が解明されたのは、1953年頃のことです。「染色体」という名称の由来は、色素に染まりやすい性質に由来しています。
遺伝子は、DNA(デオキシリボ核酸)という一種のポリマーであり、遺伝子(DNA)が多数集ったものが染色体です。例えて言うと、遺伝子は本にあたり、染色体は書庫にあたります。人間の場合、100万冊もの本に色々な情報を記載して、46個の書庫に納め、子へ渡すわけです。(子は父と母のそれぞれから23個ずつの書庫を貰います。)

親と同じ形質を作るためには、子が親から同じ情報を貰えばよいと考えられています。例えば、赤眼のショウジョウバエでは、赤い眼の作り方が遺伝子という本に書かれています。もし化学物質や放射線により、本のその頁が破られたり汚されたりして判読不能になったり、あるいは誤読されたりすると、赤い色素の合成ができなくなります。その結果、白眼のショウジョウバエの子が生れます。これが突然変異です。親は遺伝子という本に書いてある情報を子に伝えますが、化学物質や放射線によりこの本が汚されたり破られたりすると、正しい酵素が作れなくなり、親とは異なる形質が発現します。これが突然変異です。突然変異を誘発する物質を変異原とか変異原性物質と呼びます。

例えば、酵素の作り方も遺伝子という本に書かれています。生物の体の中では、生命現象の基となる多種多様な化学反応(外から光や酸素や食物を取り入れて、運動や成長に必要なエネルギーや物質に変換すること)が起きています。光や酸素や食物さえあれば、これらの化学反応が自動的に起きるわけではありません。化学反応を促進する役割を果す酵素が必要なのです。ある酵素は、ある特定の化学反応の仲立ちしかできません。従って、化学反応のそれぞれに対応する多種多様な酵素が必要なわけです。例えて言うと、酵素は家を作る大工や左官や経師屋なのです。ただ、1人の職人が何でも仕事をするのではなく、それぞれの持ち分が厳密に決っているのです。ですから1軒の家を建てるには、多くの職人が必要となります。
遺伝ということを、親が持っていたのと同じ家を子供が建てることに例えますと、親は遺伝子という本に家の設計図を書き表わす代りに大工や左官の養成法を書き表わして子供に伝え、子供は大工や左官を養成して彼等に親と同じ家を建てさせることになります。 酵素は一種のタンパク質で、タンパク質は、アミノ酸が多数個結合してできた一種のポリマーです。アミノ酸には20種類あり、結合するアミノ酸の種類と順序が1つでも違うと別のタンパク質ができます。つまり、遺伝子という本に書かれている酵素の作り方の情報は、どのアミノ酸をどういう順序で結合させていくかということなのです。

先に述べたDNAは、デオキシリボースという糖とリン酸とが交互に結合してできた長い鎖のそれぞれの糖部分に、アデニン(A)、チミニン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という塩基が結合してできています。DNAに書かれた情報のうち、生体構成アミノ酸を指定する暗号が解読されていますが、4つの塩基のうちから選ばれた3つの組合せ(コドンと呼びます)が一つ一つの特定のアミノ酸を指定する文字になっています。たとえば、GAGはグルタミン酸、AAGはリジンという具合に。タンパク質が細胞内で合成されるときには、実際には、DNAからこの暗号(遺伝情報)がRNA(リボ核酸)というDNAによく似た物質として読み取られ(転写され)、このRNA(伝令RNA)の暗号に従って、各種のアミノ酸から所定のタンパク質が組み立てられることになります。しかし、例えば何らかの反応によりDNA中の文字GAGがAAGに変わったとしますと、合成されるタンパク質の中のグルタミン酸がりジンになり、そのタンパク質はもはや正常に機能しないかも知れません。塩基の脱落(欠失)、挿入によっても遺伝暗号が乱れ、その結果、先のショウジョウバエの例では、赤い色素の合成に必要な酵素が作られなくなるということになります。突然変異とはこのような遺伝子であるDNA上の変異現象なのです。突然変異は、進化ももたらしますが、その一方で、がんを誘発させるのも突然変異であると言われています。
18バクテリアを用いて変異原性(突然変異誘発性)を検出するという話を聞きますが、
バクテリアの結果が人間にもあてはまるのでしょうか。
大腸菌のようなバクテリア(細菌)も高等生物である人間も、遺伝子であるDNAが情報を伝えるという、遺伝の仕組みにおいては同一なのです。バクテリアのDNAは、人間のDNAと長さや数が違いますが、機能は共通しています。したがって、バクテリアに突然変異を起す物質は、人間にも作用する可能性があると言えるわけです。もっとも、バクテリアの場合には、毒物が直接DNAに作用するのに対し、人間の場合には保護機能がありますので、必ずしも作用するとは限りません。しかし、それを証明するのは難しく、安全サイドに考えて、「バクテリアに突然変異を起す物質は、人間の遺伝子にも作用する可能性がある」として対処せざるを得ないことになります。
バクテリアを用いる利点は、安さと早さです。変異原性試験を他の毒性試験と同じようにネズミ(ラットやマウス)でする場合は、多数のネズミが必要ですし、それに、子孫に影響が現れるまでには数年かかります。これに対して、バクテリアを用いる方法では、大きな設備は要らず、結果は数日で判明します。

バクテリア(細菌)を用いる変異原性試験についてもう少し説明しておきます。この試験には、アミノ酸の一つであるヒスチジンを自ら作ることができず、外からヒスチジンを与えない限りタンパク質を合成できず、したがって増殖しないという、遺伝的欠陥のあるネズミチフス菌(Salmonella Typhimuriumというサルモネラ菌: TA98、TA100、TA1535、TA1537などの記号が付けられています)、あるいはトリプトファンというアミノ酸がなければ増殖できない大腸菌を用います。これらの菌に化学物質を作用させたとき、上記のアミノ酸がなくても菌が増殖して、皿の中の寒天培地の上に目に見える斑点(コロニー)として多数観察されるようになったときには、菌が突然変異により問題のアミノ酸が不要になった、すなわちその化学物質が菌に突然変異を誘発した、したがってその化学物質は変異原性を持つ(変異原である)と判断します。サルモネラ菌を用いた試験法は、カリフォルニア大学のエームズ(Ames)博士らが開発しましたので、エームズテストとも呼ばれています。
19プラスチック製の容器や食器から、有害物質が溶出して食品に移行しませんか。
プラスチック製品から食品中へ溶け出して来る可能性のある成分としては、

①プラスチック本体(ポリマー、低分子量のポリマー)
②添加剤
③結合し損なったモノマー

等がありますが、それぞれについて、たとえ溶出しても安全なように、また、毒性の強い成分は溶出しないように、厳しく規制されています。即ちそれぞれの溶出量については、その耐容(許容)摂取量をはるかに下回る量ですので、安全と考えているのです。したがって、「量」を一切考慮せずに、プラスチック製の容器や食器から成分が溶け出すということだけで危険だと決めつけることは、適当だとは言えません。
溶け出すか溶け出さないかという表現をすれば、容器や食器からその成分が溶け出してくる可能性があるという点では、プラスチックも紙やステンレス、陶器も同様です。ポリ衛協では、個々の物質の安全性を評価して、その結果基準に適合した物質をポジティブリストに登録しています。ポリ衛協の会員は、このリストに記載の物質のみを使用した原料を用い、さらに容器・包装などの最終製品で材質、溶出試験を実施し、その溶出量が基準値以下であることを確認することによって安全性を確保していますので、安心してご使用になれます。
20プラスチック製の袋の切れ端やまな板やおろし板の切りくずを食べてしまうことがありますが、
大丈夫でしょうか。
一般にプラスチックは化学的に不活性で、誤って切れ端を食べてしまっても、体内では何ら変化はなく、そのまま体外に排泄され、吸収されるようなことはありません。これらは動物実験でも確認されています。ただ、大きさや形状によっては、消化器官の一部を傷付けたり、滞留したりすることも考えられますので、状況によっては医師の診断が必要な場合もあります。特に小さいお子様にはご注意下さい。
ポリマー(高分子化合物)においては、国際的に「分子量が1,000を越えると、人体に摂取されても胃腸器官系で吸収されないため、人体への影響はない」との考え方が採用されています。EU(欧州連合)では、この考え方に立ち、ポジティブリストの対象を従来の日米と同じ「ポリエチレン等の樹脂別の規定」から「モノマー及びその他の出発原料を規定する方式」に転換しています。即ち、分子量が1,000を越える如何なるポリマーにおいては、ポリマー自体の毒性試験は不要であり、ポジティブリストは製造に使用するモノマー等で規定するとの考え方です。日本の化審法においても、高分子化合物の変異原性試験や慢性毒性試験等を免除する高分子フロースキームが採用されていますが、上記の考え方が基になっています。
21油に溶けやすい添加剤があるそうですが、バターケースやマーガリン容器は安全ですか。
バターケースは、AS樹脂、マーガリン容器は、ポリプロピレンを材料にしたものが多いと思われます。ポリ衛協の自主基準では、食品の種類毎に擬似溶媒を決めて、所定の温度と時間による溶出試験を行い、基準値に適合する物質のみをポジティブリストに登録しています。したがって、安全性に問題が生ずるほど多量に油の中へ溶け出す添加剤は、油脂や脂肪性食品の製品への使用を認めていません。これは、日欧米共通の考え方です。したがって、ポリ衛協の自主基準に適合している製品は、安全性には問題ありません。
22パックごと熱湯で温めるカレーやシチューは、プラスチックが溶けたり、有害なものが溶け出したりしませんか。
これらの食品は、レトルト食品(レトルト・パウチ食品)と呼ばれています。レトルト食品は、食品を耐熱性のプラスチックフィルムや金属箔などをラミネートして作った複合包装に食品を充填し、ヒートシールにより密封して、レトルト(高圧釜)で100℃以上の加熱処理(一般には120℃で30分間、135℃で10分間など)を加え、殺菌した食品です。レトルト食品の包装容器の材料は、すべてこの殺菌工程の温度条件を考慮して選択されます。すなわち、食品の組成、味、香り、色などの変化を最小限にするようなプラスチック材料が選定されます。また、擬似溶媒を使った溶出試験においては、使用温度が100℃以上に該当する条件で行い、溶出量が規格値以下であることが要求されています。レトルト食品は、常温で長期保存(普通は数カ月)されますので、内容食品によって侵されないプラスチック材料が選択されています。
23幼児用の食器にプラスチック製のものが多く、また綺麗に着色されていますが、心配ないでしょうか。
幼児用の食器にプラスチック製(主にポリプロピレン製)の食器が広く使われている理由は、次の点に特長があるからです。

  • (1)ガラス、陶器に比べほとんど割れることがないので、幼児がそれらの破片でケガをするというようなことがない。
  • (2)比較的軽く、幼児が取り扱いやすい。
  • (3)漫画とか模様など、美しい色で印刷できる。

食器の安全性については、特に幼児向けに限らず、また着色の有無に関わらず、成人用、病人用などを含め、昭和34年厚生省告示370号や業界の自主管理基準により、使用できる樹脂、着色剤(色材)、インキ等が規制されています。 ポリ衛協は、着色剤についても、重金属等の有害物質を規制するとともに、色が溶出しないことが確認されたものしか使用しないことを、その自主管理基準に定めています。したがって、子供用に限らず、着色された食器も、国の規格基準や業界の自主管理基準に適合するものであれば、安全性については特に問題はないと考えています。
24プラスチック製の水筒や駅弁に付いて来るお茶の容器は、変な臭いを感ずることがありますが、
大丈夫ですか。
ポリ衛協に加入している業者(樹脂メーカー、成形加工業者)が製造ならびに取り扱っているプラスチック製水筒であれば、昭和34年厚生省告示第370号の試験に合格したものであることはいうまでもないことですが、ポリ衛協の自主管理基準にも適合したものであり、安全上問題になることはないと考えています。
ただ、これらの製品は中空成形法で製造されますが、この際200~230℃の高温で成形されますので、その温度で揮発しやすい物質が製品(水筒や容器)の内部に出てきて、その後の空気の入れ替えが不十分であるために残存し、臭いの原因となることはあります。
一方、人間の嗅覚は、極微量(10億分の1、ppbのオーダー)の有臭の物質が存在すれば、その臭いを感ずることができるといわれています。水筒やお茶の容器に臭いがすると言っても、安全上問題になる量の物質が存在するわけではありません。水筒や容器にお茶を入れる前に、1~2度お湯で洗浄することをお勧めします。
25市販されているプラスチック食器は、全て業界の自主管理基準に合格したものですか。
市販されているプラスチック食器は全て、食品衛生法に基づく規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)に適合していなければならないことになっています。また、その多くのものは、業界の自主管理基準にも適合しています。ただ残念なことに、全ての企業が業界の衛生協議会に加盟しているわけではありませんので、「市販されているプラスチック食器の全てが、業界の自主管理基準に適合している。」とは言い切れません。
業界では、市販品の購入テストを実施し、自主管理基準への適合性のチェックを行うとともに、国外メーカーも含めて未加入の企業に対しては衛生協議会への参加を呼び掛けています。また、消費者の皆様に自主管理基準に適合する製品であることを示すため、マークの普及にも取り組んでいます。
26食品が入っていたプラスチック包装容器は、再使用あるいは転用できますか。
この場合、むやみな転用は避けたほうが無難です。包装や容器の材料は、内容物の性状を考慮して選定していますので、全く異なる性状の食品を入れると、トラブルが起きることがあります。例えば、非脂肪性食品が入っていた容器に脂肪性食品を入れた場合、その容器が油に弱いものであれば油に浸されて表面が曇ったり、ひび割れが生じたりすることになります。
勿論、転用しても大丈夫なケースも多いのですが、事前にそれを見極めることは困難ですので、同じような食品か、乾燥固形食品を入れる物に留めておくのが無難でしょう。しかし、1回使っただけで捨ててしまうのは勿体無いということで色々工夫して再利用されていますが、一般にプラスチック容器は熱に弱く、火のそばに近づけたりしますと収縮して変形します。また内容物によっては、すすいでもなかなか臭いが取れないなど臭いを吸着しやすい性質を持っていますし、一部の有機溶剤などでは変形したり溶けたりする耐溶剤性のことも考慮する必要があります。

以上より、次の様な点に注意して再利用すべきでしょう。
(1) 洗剤等食品以外のものが入っていた容器には食品類は入れない。
(2) 食品が入っていた容器でも水か微温湯でよく洗浄し臭いがとれたことを確認してから使う。
(3) 熱い茶やコーヒー、湯等を入れることは避け、よく冷ましてから入れる。
(4) ガスレンジやトースター、石油ストーブ等火気のそばに置かない。
(5) 有機溶剤や薬品、機械油等の入れ物には使わない。
27プラスチック製家庭用品の品質表示について説明してください。
一般家庭で使用されている食器その他、台所用の器具などの多くのものは、家庭用品品質表示法の対象になっています。プラスチック製品については 対象品目に適した表示事項が定められています。これら表示事項は製品の見やすい個所に刻印などで表示されています。表示事項としては1.原料樹脂名、2.耐熱・耐冷温度、3.容量、4.取扱上の注意、5.表示者、会社名、住所などです。また、対象外品目であっても、塩化ビニル樹脂製の食品用包装容器については、塩ビ食品衛生協議会自主管理基準合格品につけるJHPのマークが付いているので分かります。これらの表示は、容器等の側面とか底面などに刻印されるか、またはラベルに表示されています。
28プラスチック容器入りの食品は、早く食べるか、ガラス容器に入れ替えておいた方が良いでしょうか。
長期間保存する場合、食品によっては、ガラスびん入りなどと比較して、品質の変化が若干早く起ることもありますが、商品の通常の使用期間内であれば、問題はありません。開封後の食品の保存性については、他の容器の場合と変わりありませんので、他の容器に移し替える必要は特にありません。ただ、扱いやすさの点から、プラスチックフィルム包装の佃煮、漬物などを、ガラスあるいは陶器製の容器に移し替えることはあると思います。また、プラスチック容器から何か有害な物質が溶け出してくるのではないかという不安から質問が来ることもありますが、自主管理基準で厳しい管理をしていますので、安心してご使用ください。
29電子レンジでラップフィルムや容器を使用しても大丈夫でしょうか。
電子レンジというのは、食品自体に高周波(マイクロ波)をあて、食品自体を振動させ、その摩擦熱で食品中の水分を加熱する機器です。 ここで二つ疑問があると思います。一つは高周波をあてることによってラップ等に何らかの変化が起きるのではないかということですが、これに関しては、いろいろな実験から全く変化はないことが証明されています。
二つ目は熱による変化です。加熱された容器の熱が伝わり、容器自体も加熱されます。お芋やご飯など水分を主体としたものを包んで電子レンジに入れても100℃以上にはなりませんが、沸点の高い油性の物は、時として180℃以上になり、容器の耐熱温度を超える恐れがあります。
プラスチックには多くの種類があり、耐熱温度もまちまちですので、品質表示等にしたがって使用することをお勧めします。
30プラスチック製の漬物樽でぬか味噌を漬けたら変な臭いがしましたが、大丈夫でしょうか。
ぬか味噌製造に使用されるぬか味噌菌は、酸素も好む好気性菌と言われる菌です。ぬか味噌の漬物は、ぬか味噌を良く混ぜて、ぬか味噌に酸素を含有させることが秘訣だということは良く知られています。
従来の木製の樽は、本質上、完全に外気を遮断することはなく、適当に空気が樽材を通って内部に進入することが可能です。これに対してプラスチック製の漬物樽(普通、材質はポリエチレンかポリプロピレン)は、プラスチックを通って外気の進入は、殆ど起こりません。従って、プラスチック製の樽の場合、木製の樽の場合よりも頻繁に掻き回さないと酸素が不足し、ぬか味噌を酸敗させる嫌気性菌が繁殖して臭いがすることがあります。プラスチック自体の臭いによって、漬物が変な臭いになることは一般に考えられません。
31プラスチックまな板が、使っているうちに黒ずんできましたが、どうしてですか。
細菌や傷に入り込んだ汚れが原因です。
プラスチック製まな板の材料は、通常ポリエチレンです。ポリエチレンをはじめプラスチックは一般に吸水性は殆ど無く、木製のものに比べて細菌が繁殖しにくい材料です。
都道府県によっては業務用のまな板には、プラスチック製のまな板を推奨しているところもあります。ただ、プラスチック製のまな板でも、使っているうちに細かい切り傷ができて、そこに食物や水分が溜まり、洗浄が不十分であれば、細菌が繁殖することがあります。まな板は使用後、すぐ洗って乾燥させることをお勧めします。
32哺乳瓶を繰り返し使っていたら容器に曇りが生じ、ザラザラになりましたが、大丈夫でしょうか
大丈夫です。
哺乳瓶は、製品のほとんどがポリプロピレンか、ポリカーボネートというプラスチックでできています。透明のものか曇るというのは、単純に考えれば汚れた結果ということもあるでしょう。そうでなければ、洗浄の際にキズがついたことによると思われます。
腕時計を思い浮かべてください。気がつくと、すりガラス のように曇っていて、おや?と思ったことはありませんか。よく見ると、そこには細かなキズが入っていたはずです。キズの部分は、他の部分とはちがって、光の乱反射が起こってしまうので、視覚的には曇ったたように見えるわけです。もちろん、そのキズに、ミクロの汚れが入り込んだことが、汚れの"共犯"になっていることもあるでしょう。 また、表面がザラザラになるのは 化学変化ではありません。プラスチックは他の物質と仲良くなって違う性質を帯びることは、よほどの条件が揃わない限り、ごくごく希だからです。 いずれにしても、曇りによって、ブラスチックから滲み出てくる物質の量が増えるという心配もまったくありません。ポリプロビレン、ポリエチレンは"堅いのに軟らかい、割れないのにキズつきやすい"性質を持っています。また、気分の問題もあるので、なるべく柔らかいスポンジで優しく洗浄するよう心かけてください。
33プラスチック製品は、ほこりが付きやすく、汚れやすいと感じることがありますが、どうしてですか。
プラスチックの汚れは、ガラスや陶器の汚れと同じく、表面に付着したものです。プラスチックは電気を通さないという優れた性質を持っているのですが、反面、ご指摘されるように、摩擦などによって起きた静電気が逃げずに、いつまでも残っています。この静電気のために、空気中のホコリやゴミが吸い寄せられて、汚れが付く訳です。しかし、電気は水で逃げますので、こまめに洗えば、プラスチックの表面に付いた汚れは簡単に落ちます。ただし、ガラスや陶器などと違い、表面をクレンザーやタワシでゴシゴシこすれば、たとえ汚れは落ちても、細かい傷がプラスチックの表面に無数に付いて、つやが失われ、更にその傷の中に汚れが入って、余計に汚くしてしまうことがあります。
また、帯電しやすいプラスチックに対して帯電防止剤を添加すると、空気中の水分を吸着しやすくなり、その結果、帯電した静電気を逃がしてくれる効果が期待でき、汚れにくくした素材もあります。
34発泡スチロールのトレーに熱い食品を入れても大丈夫でしょうか。また、カップラーメンの容器は
熱湯を入れても大丈夫でしょうか?
発泡スチロールの耐熱温度は100℃前後です。揚げたての天ぷら、コロッケ、豚カツなどを直接のせたり、油性の食品を包んだまま電子レンジ加熱したりしますと、高温の油で変形したり、穴が開いたりすることがありますので、100℃を越すような高温の油性食品を直接のせたり、電子レンジでの加熱は避けてください。
カップラーメンには、熱を伝えにくい発泡スチロール製の容器などが使われています。熱湯を使用しますので、溶出試験は100℃を越える場合に適用される高温条件下で行うなど、使用条件を考慮した厳しい規格基準に従い、安全性を確保しています。ただし、火傷などには十分注意してください。
35プラスチック製品の衛生性、安全性について、ポリ衛協としてどのように取り組んでいますか?
ポリ衛協ではプラスチックの種類別に自主基準を制定し、会員が自主基準を守ることによって、安全性確保に努めています。この自主基準の主な点は次の2点です。

  • (1)プラスチック及びその添加剤(着色剤を含む)は、毒性等の試験の結果、安全性が確認されたものか、 または、先進諸外国(アメリカ、ドイツ、オランダなど)で安全に使用できる物質として認可されているものの中から品質や使用量制限などを定め、リスト(ポジティブリスト)を作成しています。
  • (2)プラスチック及びプラスチック成形品に対して食品衛生法に準じて衛生試験法を定めています。会員は(1)のポジティブリスト記載の物質のみを使用して、食品用プラスチックの原料および製品を製造し、(2)の衛生試験を実施しています。

なお、ポリ衛協では自主基準に合致した製品に自主基準合格マーク表示することを推奨し、安全なプラスチックを選ぶ目安にしています。
36わが国の食品用プラスチック製品に対する法規制はどうなっていますか?
食品衛生法で、第15条に「営業上使用する器具及び容器包装は、清潔で衛生的でなければならない」、第16条に「有毒な、もしくは有害な物質を含み、または付着して人の健康を損うおそれがある器具もしくは容器包装は、製造・販売、輸入もしくは営業上使用してはならない」、また、〔器具等の規格及び基準〕として第18条には「厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、販売の用に供し、若しくは営業上使用する器具若しくは容器包装若しくはこれらの原材料につき規格を定め、又はこれらの製造方法につき基準を定めることができる。」と定められています。さらに、「この基準に合わない器具若しくは容器包装を販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、若しくは営業上使用し、その規格に合わない原材料を使用し、又はその基準に合わない方法により器具若しくは容器包装を製造してはならない。」としています。
これにもとづいて制定された具体的な規格基準が「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)「第3:器具及び容器包装」(最終改正平成18年3月31日厚生労働省告示第201号)です。ここでは食品に直接接触するプラスチックに対し、種類にかかわらず適合しなければならない「一般規格」と、そのプラスチックの特性を考慮した種類別の「個別規格」が定められています。
また、乳や乳製品に対しては、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年厚生省令第52号)「別表四 乳等の器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準」が制定されています。
国では、これらの法令の課題を解決するため、食品用器具及び容器包装の規制に関する検討を進めており、ポジティブリストの導入に向けて食品衛生法の改正が検討されています。
37国の規格基準とポリ衛協との関係は?
昭和46年、厚生省はプラスチック関係業界に対し、食品用プラスチックの安全性確保のため、次のような業界指導を行いました。

  • (1)プラスチックの成分および添加剤について、ポジティブリストを作成する。
  • (2)国では順次個別規格を作成する。
  • (3)国が告示する各プラスチックの規制は、民間の自主基準でポジティブリストが守られていることを前提として、プラスチックからの溶出量を制限する方式で行う。

これにしたがい、ポリ衛協では昭和49年、ポリエチレン、ポリプロピレンなど5樹脂についてポジティブリストおよび衛生試験法からなる自主基準を制定しました。以降対象樹脂が増え、現在30種のプラスチックに自主基準を制定しています。また、ポリ衛協が対象とする30樹脂うちの14樹脂に国の個別規格が設定されています。
今後、食品用器具及び容器包装のポジティブリスト制度が法制化される際には、ポリ衛協のポジティブリストや確認証明制度が参考にされ、ポリ衛協の団体としての位置づけがより一層重要になるものと考えられます。