プラスチックの基礎知識

〜プラスチックができるまで〜
TOP > プラスチックの世界 > プラスチックの基礎知識

プラスチックとは

「プラスチック(plastics)」という言葉は、英語のplasticity = 可塑性(かそせい)を持つものというのがそもそもの意味です。

「可塑性」とは、粘土のように、こねたり押しつぶしたりしたときに、形が自由に変形し、力を取り去った後も、その変形した状態がそのまま残る性質のことを言います。これに対して、ゴムまりのように指で押すとくぼむけれども、指を離すと元に戻るような性質を「弾性(elasticity)」といいます。

ここで次のような疑問が起こるかもしれません。


日常使用しているプラスチック製のコップや皿は、指で押しても別にくぼまないけれど・・・?

その通りです。もっと正確に説明すると、高温に加熱したとき軟らかくなり、粘土のようにこねることができる性質を「熱可塑性」と言います。この「熱可塑性」を示す物質の総称が「プラスチック」なのです。

でも、「鉄やガラスも赤くなるまで熱すると軟らかくなり、望む形にすることができるから、鉄やガラスもプラスチックと言うのだろうか」。と考える人がいるかもしれません。一般的に、プラスチックは鉄やガラスよりずっと低い温度で軟らかくなり、もっとずっと軽い物質です。私たちは「プラスチック」という言葉を鉄やガラスを除外した、もっと限定された物質を指すのに使っているのです。

モノマーとポリマー

化学の世界では、ある種の物質は、物質同士を結びつける「結合の手」を持っています。このような物質に、温度や圧力を加えたりすると、おたがいに1,000~数万個も結合して強靱な物質が生まれます。

このように繰り返し結合していくことを「重合する」といい、その結果できた物質をポリマー、結合する前の個々の物質のことをモノマーと言います。

ここでプラスチックをもう一度わかりやすく説明すると、

プラスチックとは

結合する手を持った物質(モノマー)を、1,000~数万個結合させてできる強靱な物質
(ポリマー)に、必要に応じてその性質を改良する「添加剤」を微量加えたもので、加熱
によって軟らかくなり、目的とする形状に成形されるような材料

プラスチック製食品用器具および容器包装の製造から使用まで

今日、プラスチックは食品用器具及び容器包装の原材料として広く使用されていますが、器具及び容器包装が出来るまでには、何段階もの化学反応の過程を経て製品に加工されます。

プラスチックは、主材料であるポリマーに必要に応じて添加剤を加え、加熱や力を加えて、さまざまな形に仕上げます。これを「成形加工」と言います。こうした作業は、1つの会社で行われるのではなく、ポリマーはポリマーのメーカー(樹脂メーカーとも言います)、添加剤は添加剤のメーカーがつくり、器具及び容器包装は成形加工メーカーが製品にするのです。

その製品が食品の容器であれば、さらに食品メーカーで容器に食品を詰める作業(充填と言います)が行われます。そして、スーパーやコンビニエンスストアなどの店頭に出て初めて私たちの目に触れることになります。

では、どのようにプラスチックは作られるのでしょうか。また、プラスチック製食品用器具及び容器包装はどのようにして作られ、消費者の皆様の手に渡るのか、サプライチェーンの各段階に分けて説明します。

① プラスチック原料の供給

原油や天然ガスが、アラビア半島やインドネシアなどの産油国から、タンカーで運ばれます。原油や天然ガスは石油精製工場でいくつかの成分に分けられます。このうちプラスチックを作る材料として必要な成分(ナフサなど)がパイプラインやタンカーで石油化学工場に送られ、エチレン、プロピレンなどのモノマーに分解されます。

② ポリマー製造

樹脂メーカーは分解されたモノマーを化学反応させて、同じモノマー同士、またはほかの種類のモノマーを結び付け、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリマーを作ります。必要に応じ、これに添加剤を加え米粒状のペレットと呼ぶ原料にして器具や容器包装の加工メーカーに出荷します。

③ 添加剤配合

添加剤には、安定剤(熱や光によるプラスチックの酸化、劣化を防ぐもの)、充填剤(強度や耐久性を向上させるもの)、滑剤(成形する際に役立つもの)など、プラスチックの性能を高めるもの、加工しやすくするもの、色をつけるものなどがあり、それぞれ必要に応じ、樹脂メーカーや加工メーカーで使われます。

④ 成形加工

成形加工は、専門の加工メーカー、場合によっては食品メーカーの工場で行われます。成形工場では、さまざまな成形機械で樹脂ペレットを加熱して軟らかくしたあと、いろいろな形に仕上げて多様なプラスチック製品を作ります。

射出成形(インジェクション成形)

ひき肉機のように注入口(ホッパー)からシリンダーに原料樹脂を入れます。シリンダー内にあるスクリューを回転させながら、加熱し、溶かした樹脂を注射器のように、押出機から金型の中に射出、充填します。その後、金型内で冷却し固めて成形する方法です。小さなものから大型の製品まで、同じ形状の製品を大量に製造するのに適しています。

押出成形

射出成形と同様に、ホッパーからシリンダーに原料樹脂を入れ、加熱して溶かします。スクリューを回転させながら押出機の先端の口金から押し出し、その後で冷却して固めます。この口金の形がスリット状の出口ならフィルムやシート、リング状の出口ならパイプ、チューブという風に作り分けます。

中空成形(ブロー成形)

押し出されたばかりの、まだ軟らかいチューブを金型でとじて挟み、中に空気を吹き込んで金型を開いて取り出します。化粧品や洗剤などのボトルがこの成形法で、ダイレクトブロー成形とも呼ばれます。

押し出されたばかりの、まだ軟らかいチューブを金型でとじて挟み、中に空気を吹き込んで金型を開いて取り出します。化粧品や洗剤などのボトルがこの成形法で、ダイレクトブロー成形とも呼ばれます。

インフレーション成形

射出成形と同様の押出機の先端に細いリング状のスリットをもつ口金(ダイ)があり、溶融プラスチックはここから円筒状の薄い膜として押し出します。このとき口金の中央部から上向きに空気を吹き込んで一定の大きさに膨張(インフレーション)させます。

できたチューブを押しつぶして封筒状(両端に折り目ができる)にしてから巻取ります。上下一定の長さに切って、一方を接着するとポリ袋、そのまま巻き取ればラップフィルムなどになります。

ラミネート加工

押し出しラミネート

溶かした樹脂の原料が押出機の前の口金(ダイ)から薄い膜になって出るとき、別の基材と呼ばれるフィルム、紙、アルミなどと接着すると同時に固化します。ちょうど基材に薄い膜がコーティングされた状態になり、熱で接着ができる性質を利用して、多くの食品包装用に使われます。

ドライラミネート

ドライラミネートは、機能の異なるフィルムなどを複合・接着する際に、溶剤に溶かした接着剤をフィルムに塗布し、乾燥オーブンで溶剤を蒸発させた後、もう一方のフィルムなどと圧着して貼り合せます。

接着剤は主剤と硬化剤から成り、貼り合わせ後30~55℃で一定時間保管が必要です。この間に化学反応が進行し十分なラミネート強度を得ます。ドライラミネートは高いラミネート強度が得られることから、水物の包装、ボイル・レトルトパウチ等広く軟包装に適用されています。

二次加工

押出成形やインフレーション加工で作られたシートやフィルムを容器の形にしたり、袋にして印刷加工をする工程を二次加工と言います。二次加工には、卵パック、トレー、豆腐容器などを作る真空成形のほか、圧空成形、印刷製袋加工などがあります。ラミネート加工もフィルムやシートなど一次加工でできた製品を材料にして、貼り合わせるので、二次加工の一部と言えます。

⑤ 食品・飲料充填と包装

完成した容器、包装材は、食品・飲料メーカーに送られて食品がつめられます。食品を充填している生産ラインが見学できる食品メーカーもあります。

また、各地の漁業組合、農協に送られて生鮮食品の包装、輸送に使われます。

⑥ 販売

容器に充填された食品・飲料は、そのままスーパーやコンビニエンスストアの店頭に。生鮮食品などは、スーパーや食料品店の作業場でトレイに入れたり、ラップで包装した上で、店頭で販売されることもあります。

また、器具として販売されるものは、そのまま生活者の手に渡ります。